Gyu場つなぎブログ【よーへい編応答】浅はかさの問題と効用

昨日の場つなぎブログのテーマは「ゼミ選び」でした。
就活で便利そう。面白そう。友達出来そう。
さすがです。期待を裏切らない率直さでした(笑)

ゼミに何かを求める2つのタイプ
ゼミに何かを求める人には二つのタイプが多いように思います。
まず,「サークル!バイト!遊び!」でそれなりに楽しく過ごしてきた人。典型的にはサークルなどで大学生活の居場所や仲間を見つけて自由度の高い2年間を満喫したタイプの人ですね。
そしてもう一つは,自分に合うサークルが見つからず,アルバイトなどはやってきたものの,大学に居場所がある感じがしない,やりがいを感じることが見つからないというタイプの人。

両者は対照的ではありますが,どこかで「このままではまずいんだろうな」という感覚を持っていて,ゼミに入ることでライフスタイルを切り替えるきっかけにしたいと思っている点で共通しています。

ゼミと就活
そして両者に共通する一番の将来の不安と言えば,ごく近い将来に迫った就活なのではないかと思います。このままだと就活でアピールできること,たとえばいわゆる「ガクチカ」で話せることがなくて苦労するんじゃないか,という不安です。もしかしたら,いいゼミに入ったら,就職で有利なんじゃないかという期待もあるかもしれません。

(前に使った「ゼミ選びをめぐる学生のあいまいな期待と不安」の絵を再掲。ここにもありますね「就職いいの?」「役に立つのか?」とか)

就活についてはすでに書いたことが言いたかったことです。後は蛇足になるので多くを語りたくはないのですが,少し付け加えれば,どんな人が有能なのか,魅力的なのかは企業によっても異なるでしょうが,いずれにせよ就活の選考においては,その人の資質や可能性がどう評価されるかが問題です。少なくとも文系学部に関する限り,どのゼミに所属しているかが就職を左右することはありません。

もちろん,切磋琢磨できる環境に身を置くことができるかどうか,ということはゼミに限らず重要でしょう。問題は「就活で便利そう」という動機だけで,その切磋琢磨を続けていけるのかということですかね。むしろ何か別の動機を獲得して,集中して取り組みたいことが出てくることで,就職についてもいろいろな可能性が開けていくように思います。

「一生の友達ができる。」それはゼミの目標ではありません
「友達出来そう」についても触れておきたいと思います。
まあ友達はできると思いますが,恥ずかしながら”Creative First”と言っているゼミなわけですので,ゼミは創造的で「何か新しい」成果を出すことが最優先の目標です。もし優れた成果が出せるのであれば,仲が悪くても一向にかまわないわけです。ですので,「友達を作る」ことはゼミで目指すことではありません。

ただし,関係性が悪いチームでCreativityが発揮できるかどうかと言われれば,それは疑問です。ダニエル・キムの「成功の循環」というよく話題に上るモデルがあります。
関係の質→思考の質→行動の質→結果の質→関係の質→・・・
という円環状の因果関係を示しています。

このモデルに従えば,「関係の質」は「思考の質」「行動の質」の変化を通じて「結果の質」を上げることに貢献する。また,「結果の質」を高めることは「関係の質」の向上に貢献するということになります。結果の質を追求することだけに拘り,その他の質を無視していたら結局うまくいかないという主張です。
どの程度まで検証されているのか調べたことはないのですが,経験的には頷けるところがあります。同じように感じる人は多いようで,検索すれば簡単な解説はたくさん出てきますので,ぜひ調べてみてください。

「友だちを作ること」はゼミの目標ではないと言いました。でも,同じ目標を達成するために成功の循環モデルを何周も循環,時には逆循環した結果,こいつとは一生友達でいられるだろうなと思える人がいたとすれば,(たとえ片想いだったとしても)それはとてもハッピーなことでしょう。

就活の話も同じようなものではないでしょうか。ゼミに限らず,学生時代の何らかの課題・活動で失敗を繰り返しながらも,思考の質,行動の質,結果の質,そして関係の質を上げていくということの意味や難しさを少しでも実感できていれば,そしてそれを相手にしっかり伝える力があれば,「こいつなら一緒に仕事ができそうだな」と感じてもらえると思います。そして,それは必ず評価されるはずです。

就活はゲームですので,特有のテクニックや立ち回りの要領も必要なことは否定しません。練習すれば面接も上手くなります。ですが,総じていえば,就活も目標にするとか誰かから貰えるメリットを期待するのではなくて,何かを成し遂げようと試行錯誤をすることで,結果としてプラスに働くという副産物みたいなものじゃないかなと思います。
そして,そもそもですが,自分にとっての「いい就職」とは何なのか,というところから遡って考えたいところですね。

浅はかさはエンジンである。
冒頭で「就職で便利そう。面白そう。友達出来そう。」というのは「率直」だと言いましたが,物事をシンプルに捉えすぎているという意味で,「浅はか」と言い換えてもいいかもしれません。「浅はか」とは「考えが浅い」ということですので,明らかに誉め言葉ではありません。ただ,浅はかさも悪い面ばかりではないかもしれないなと思います。

よーへいくん肯定側に立つとすれば,浅はかであれば,気軽にいろいろな期待を持てるので,フットワークの軽さにつながります。いろいろなトライができるわけです。
もちろん,ただあちこちで失敗を繰り返すだけなのではという反論はあり得ます。たしかに,動機がどんなものであれ,課題それ自体の難易度は変わりません。浅はかな人向けの簡単な課題設定というのはないので,浅はかなまま突入すれば簡単に失敗することになるでしょう。成功するリスクはありません。

しばしば炎上と失敗を繰り返しているという表現だけに注目すれば,単に学ばない人という評価もできるかもしれません。しかし,実際にはトラブルを引き起こしつつも,いくつもの成果を残しています。浅はかキャラをセールスポイントにしている人ではありますが,他方でかなりの努力で成果は残しているわけです。たぶん単に浅はかな動機だけで動き続けているわけではないのかなと思います。

もしかしたら7勝8敗で負け越しかもしれませんが(笑),学生時代の失敗の傷は浅いものです。負けも将来の糧になる限り問題ありません。前にも書いた通り,削られたところも感覚が残るのであれば,何もしないよりもはるかに良いということになります。

全敗を目指せと言っているわけではまったくないのですが,とりあえず浅はかに動き始めてみるのもそう悪くはないかもよ,とはフォローしておきたいと思います。