Gyu場つなぎブログ【みずほ編応答】カバンの中身を見せてみろ!

場つなぎブログ6人目のテーマは「ゼミ員のカバンの中身」でした。
このテーマからゼミの活動紹介に持っていったのはさすがです。

めぐるめ,有難豚など,食をテーマにする活動があるので,ゼミで何かを食べるって機会はたまにありますね。

たとえば,去年は”旅するおむすび屋さん・菅本さんをお招きしたゲストトークの時も炊飯器を2台持ってきてもらってご飯を炊きました。7月に養豚家の高橋希望さんをお招きして開催した有難豚試食会は,学外のキッチンスタジオでゼミをやったので,3年生が三田論のテーマについて議論している後ろで,「そろそろ終わるかな~」という感じで4年生が料理を作っているというなんともアットホームな雰囲気でした。

ゼミが終わる頃にご飯ができているというのは,なかなか暖かいものです。

ネットも携帯もない80’s
さて,カバンの中身と言えば,私が学生時代のエピソード,今を去ることかなりの年月ではありますが,80年代の就活をめぐるお話です。何度かゼミでも話したことがあります。

まだWebエントリーという仕組みはありません。インターネット以前ですから。
業者から段ボール箱で送られてくる資料に入っている葉書の自由記入欄に志望理由を細字のペンでぎっしり書き込み,お眼鏡にかなうとリクルーターから電話が来ます。

携帯はありません。家電です。
携帯を持っている人も見かけたことはあります。肩掛けベルトの付いたお弁当箱みたいなものでした。あれは衛星電話かな。

一日の面接が終わると,すぐ家に帰って電話がかかってくるのをじっと待っている。電話を取り逃さないように,トイレもドアを開けたまま入る。そういう時代です。

ゼミの先生に何か急ぎの連絡をする時も家電。電話に出るのはたいてい奥様だったので,「ゼミでご指導いただいている3年の牛島と申します。夜分に申し訳ございませんが,ご連絡がございまして,××先生はご在宅でしょうか」みたいなセリフを感じよく言えるようつぶやいてみたりして,なかなかのプレッシャーがありました。

カバンの中身を出してみろ!
私が3年生の頃だったと思います,先生が一つも内定が取れない4年生の相談を受けた話をしていました。

「どうしたらいいでしょうってオタオタしてるから,言ったんだよ。「カバンの中身を出してみろ」って。案の定,履歴書とくだらない対策本しか出てこない。そんなんだからダメなんだ。洋書の一冊も入れとくもんですよ! 」

どこまで本当の話だったかは分かりません。いやそれはやりすぎじゃないかなと思いましたが,あくまでそういう趣旨のお話で,たぶん本当に出させたわけではないでしょう。
もしかすると洋書一冊渡して「これ読んどけ」って帰したということはあるかもしれませんが。


4年生が3年生向けに開催する就活相談会。いつの頃からか毎年開かれるようになった。)

先生が言いたかったのは,「お前,就活に飲み込まれてるんじゃないの」っていうことだったと思います。

最近は「どこに行くべきか決められない」っていう相談はあっても,「どこも決まらない」っていう相談は滅多にありません。こういう時代が長く続くといいですが,ゼミを担当するようになった時期は就職氷河期の最後あたりだったので,今とはまったく比べ物にならない厳しい時期がありました。

その頃の「決まらない学生」の特徴は,流れに乗れないまま周りに内定が出始めると焦りが出て,「とにかく一つ欲しい」しか考えられなくなって,追い込まれてさらに上手くいかなくなるパターンですね。

人間,相手に評価して欲しいということしか考えられなくなると,知らず知らずのうちに受け答えが迎合的になっていくので,面接する側から見るとブレブレだったり,当たり障りのないつまらない人っていうことになったりします。

会社によって選考軸はいろいろでしょうが,結局,こいつは骨があって魅力的だなっていう人は思い通りに決まるんじゃないかと思います。ゼミ員を見ていると実際そうです。
でも,「内定欲しい」に取り憑かれてしまうと,面接で勝負に打って出ることができなくなります。自分のこだわりや頑張りをストレートに出して,それでいかようにも評価してもらうという姿勢,まな板に乗るという腹の括り方を忘れるわけです。

たぶん,誰が見てもそういう人に魅力はありません。

就活中のカバンに洋書が入っているというのは,卒論のために英語の専門書を読んでいるっていうことですね。就活で飛び回りながらも,空き時間には自分の選んだ研究テーマについて考え続けようとしていることになります。

もしかしたらポーズだけで大して読んでないかもしれないけど,ちゃんと考えることをやめないぞという姿勢の象徴です。


(伸びゆく19期。本文とは関係ありません。)

私には,「洋書の一冊も入れとくもんですよ!」みたいな30年以上前の大先生のようなセリフは到底言えません。一回りも二回りもスケールが小さくなるのですが,もしいま何か声をかけるとすれば,就活中もやりたいこと,やるべきことを諦めないという姿勢で臨むことが,どこかにあるはずの自分の魅力を発揮することにもつながるんじゃないかな,という程度です。

そのためには,一日,一週間,一か月,いろいろなタームの中でメリハリをつけて,就活以外のことにしっかり向き合う時間を意図的に作ることが必要でしょう。何かに熱中することと,大きな流れに巻き込まれて我を失うことはかなり違いますし,就活は上手くやるべきことではあるけど,熱中すべき対象ではないと思います。

総括です。19期は卒論頑張ってください。