Gyu場つなぎブログ【ぺい編応答】卒論ってなんだ

こんにちは,牛島です。
19期場つなぎブログ3人目のテーマは「1年間の思い出ベスト3!」でしたね。

自己紹介で失笑はしていないと思うのですが,彼はまじめな連絡のLINEにワンフレーズだけジョークを交えてくるので,いつも対応に苦慮しているということはあります。

卒論の位置づけ
さて,思い出ベスト3ということですが,一昨日が3年生の卒論レポートの締め切りだったタイミングですので,ここはやはり卒論に触れなければならないでしょう。

卒論は完全に個人課題なので,グループワークが売りのゼミの活動の中では意外に目立たず,「ほかにゼミのこともいろいろあってなかなか本腰が入れられない」という言い訳が蔓延する課題の筆頭です。ゼミ員同士の雑談でも「どれだけ卒論やってないか競争」が繰り広げられているのを耳にしたりもします。


(4年生の卒論中間報告)

しかし個人的には,卒論はゼミにおいてもっとも重要な課題であるという認識です。
自分で問題を立て,先行研究を漁り,仮説を考えて1次資料・データを探し,フィールドワークも踏まえて検証して結論を導くという,大学・ゼミでの学びを駆使する集大成が卒論という位置づけですからね。卒業後も,「大学で何を勉強してたんですか?」「専門は何だったんですか?」って聞かれた時に答えるのが卒論だったりするわけです。

オリジナリティのある優れた卒論が書けるかどうかは別として,卒論で苦しむ経験なくして大学卒業とは言えないだろう,とも思います。きちんと向き合ってもらえれば,大学以外の場所では絶対に経験できない一生の財産になると確信しているのですが。

テーマ探しと専門性
ちなみに,卒論のテーマは産業・経営にかかわる問題で,かつ変化の局面を含む長期的な視点が入ればどんな内容でもOKということにしています。テーマ設定の自由度はかなり高いのではないでしょうか。ただ,制約が小さいっていうのはそれなりに難しいところがあって,ちょうど3年生のこの時期には卒論のテーマ探しに苦しむ人も多いようです。

ゼミにもっと一言で言えるような専門があればやりやすいし,ゼミ外の人に聞かれた時に説明しやすいっていう意見も繰り返し聞きます。その一方で,卒論発表で同じ領域のテーマが続くとつまらないと言ったりする人もいます。全員が一つの専門分野に特化していたら,毎回同じ領域の話が続くのが当たり前になるんだけど,そこはどうなんでしょう。


(卒論中間報告で質問する3年生)

たぶん,ゼミの内容が産業史・経営史っていう領域ではとうてい括れない広がりがあるので,それも踏まえて「××学」みたいにイメージが分かりやすい分野名が欲しいってことなのかなとも思います。でも,そもそも専門っていうのは「○○検定」みたいに人から与えられるものじゃなくて,自分で到達するものですからね。一人がゼミの全部を抱え込む必要はなくて,テーマを決めてコツコツ積み上げてもらえればいいんじゃないかと思っています。僅かながら積みあがったものを眺めてみて,「自分の専門ってあえて言えばこういうことなのかもなあ」ってところまで行けるのが理想ですよね。

研究テーマが「自分にやり切れることかどうか」というところが気にかかっている人もいると思いますが,ぼんやり考えているのと,実際に調べて考えて何か書き始めてみるということの間にある溝は大きいです。
始めてみないとどこがどう難しいのかも分からなかったりします。

それでも何周かぐるぐる周っているうちに展望が開けることもあります。周らないと開けないので,開くかどうか分かりませんが,制限時間いっぱいまでぐるぐる周るしかありません。でも,周り続けていれば,いつか前よりも少し高いところに登って景色が変わっていることに気づく時が来るはずです。

2年生へのアドバイス
入ゼミ用エントリーシートで質問している「ゼミで取り組みたい研究テーマ」をどうしたらいいのか困っている人もいそうです。これも一発で解決する方法はないので,提出期限が延びた分,いろいろ参考文献を当たりながらぐるぐる周ってみてください。大袈裟ですが,それは今後の人生において決して無駄な努力にはなりません。

「良かれと思って言ってるんだから,ここはとりあえず言うとおりに頑張りなさい」みたいな話で申し訳ない。もっと具体的に役立ちそうなことを何か付け加えないといけないですね。

研究テーマを考える際,最も重要なのはどんな問題を立てるか,ということだろうと思います。ただ,未経験者にはそもそも問いを立てるっていうことのイメージがつかみにくいようです。手始めに,3年生のサブゼミの最初の方で使うこともある以下の本の3章「問いの立てかたと展開のしかた」だけでも読んでみると参考になると思います。
苅谷剛彦『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』 (講談社+α文庫),2002年

ゼミに入るに際しての心構えということですと,もし同期が20人いたとすると,自分の発表は1回で残り19回は他人の発表を聞く立場になります。自分がゼミで発表する回数よりも,発表を聞く回数の方が圧倒的に多いわけです。聞き手に回った時にどういう姿勢で臨むかによって,学べることは大きく変わるということですね。
単に聞いて理解するというだけではなくて,常に「自分だったらこの問題をどう扱うだろう」「どうすれば面白くなるだろう」っていう感覚で臨んでもらうと良いトレーニングになるでしょう。
そして,そういう人が多いほど,ゼミのクオリティは上がります。
ぺいくんのブログの通りですね。彼は4月から留学予定ですが,帰ってきたら素晴らしい卒論を書いてくれるだろうと思います。

内容がだんだん説教になっていくような気がしますが,それだけ熱意をもってゼミに臨んでいると考えていただければ,ゼミへのモチベーションも上げていただけるだろうと思います。気は持ちようです。