Gyu場つなぎブログ【しおり編応答】忙しさと両立について

19期場つなぎブログ7人目のテーマは「ゼミ生活の理想と現実」でした。

この人はものすごく忙しいはずなのに,そういう雰囲気は感じさせません。むしろ,いつ会っても,その場を積極的に楽しんでいる感じですね。
恐るべきことです。

さて,今回のテーマは「忙しさと両立」についてです。毎年,ゼミの個別説明会で少しだけ触れる内容をもう少し書いてみたいと思います。

未知の不安と未来の可能性
ゼミの他にも,何かやりたいこと,やらなければならないことがあるというのは普通のことだろうと思います。ですので,ゼミに入ってから上手くやりくりできるかなと不安を感じるのも普通ではないでしょうか。

ただ,その不安のかなりの部分は,経験したことのない新しいステージに入る時に感じる「未知への不安」というタイプのものではないかなとも思います。この先の自分のあり方や生活が漠然としていて,上手くやっている自分が具体的にイメージできないところから来る不安です。

ゼミの活動はこれまでの学生生活で経験したことのないものが多いはずです。また,しっかり成果を出してもらいたいと思っていますし,ゼミ員にもそう考えるタイプの人が比較的多いと思います。ですので,大変なことがないとは言いません。

ただ,未知への不安に支配されてしまうと,新しい挑戦は難しくなるでしょう。
未知への不安を回避し続ければ,未来の可能性も失われます。

もちろん,だからと言って,ただ闇雲に頑張ればよいという物でもありません。頑張ることとか忙しくすることそれ自体が目的化してしまうことも危険です。前々回のブログでも「不安や焦りから始まる行動や努力は,往々にして考えることを回避することにつながりかねません」と書きました。
忙しさに負けずに頑張っていると,安心感や達成感に安住してしまうこともあったりします。私自身も「多忙は怠惰の隠れ蓑である」という言葉をことあるごとに戒めとしているのですが,多忙の惰性に飲み込まれないようにするのはなかなか難しいことです。

また,もし心の中にある未知への不安を押さえつけ,ただ挑戦あるのみと突き進んだとしても,人それぞれのキャパシティというものがありますので,程度の差はあれ推進力はそう長くは維持できず,いずれ失速してしまうことでしょう。
その過程では,自分や周りのことも見えなくなって,思う通りにできない自分に失望したり,同じように突き進まない周囲の人々を嫌悪したり攻撃したりする思考につながっていったりします。そうなってしまえば,誰も何も得るものはありません。
場合によっては,体験学習理論で言うパニックゾーンに突入して破綻してしまうこともあるので要注意です。


(3つのゾーンについては,こちらの4年生振り返りブログも読んでみてください。)

新しいことにチャレンジするのは多かれ少なかれ困難を伴います。でも,それは同時にゼミ生活の魅力・醍醐味でもあります。どんなゴールを目指すのか,自分のペースをどうつかむのか,過程を楽しむにはどうすればいいか,それぞれが自分のストレッチゾーンの範囲を見極めながら試行錯誤してもらう必要があるでしょう。

真面目に考える人ほど未知への不安に陥りがちな気がします。でも,実際に始めてみればたぶん大丈夫です。常に具体的に考えることを忘れなければ,不安は課題に変えていけるでしょう。

両立できるかどうかは,かなりの部分,時間の問題ではない。
ゼミとその他の活動との両立ということで言えば,ここまで19年間ゼミでいろいろな人を見てきて思うのは,両立できるかどうかは忙しさの程度とは別のことで決まるんじゃないかな,ということです。

説明会などでも話したことがありますが,何か別の予定があって活動に参加できないことが多くても,グループで存在感を発揮できている人もいたし,そうでない人もいました。
「あいつは忙しいからな」で諦められてしまうか,それとも信頼を勝ち得るか。差がどこにあるかというと,いま取り組んでいることの当事者であり続けることができるかどうかなのではないかと感じています。


(本文とは関係のない単なる飲み会ショット)

「当事者」というのは,自分があるものごとの結果に影響を与える立場にあるという感覚を持ち続けられるかどうか,というような意味です。
何らかの理由で役割が十分果たせないことがあったとしても,下請けではなくて,自分がメンバーの一員であることを自覚している。しかも,その気持ちがしっかり他のメンバーに伝わっている。そんな感じです。
時間の問題ではなくて,その場にいる時の集中力,そして「その場にいない時にも気持ちをそこに残せるかどうか」ということなのでしょう。

家庭と仕事,こっちの仕事とあっちの仕事,我々の人生はいつも両立の難しさで満ち溢れています。そんなことを言われても,すべてのことの当事者にはなれないよ!と叫びたくなる感じですね。
「言うは易く行うは難し」であること重々承知していますが,とりあえず無謀ではなく,怠惰でもない範囲で悪戦苦闘してみるのも経験かなと思います。疲れたら休みつつ,お互い頑張っていきましょう。