Gyu場つなぎブログ【さらさ編応答】分析・表現方法を広げる

こんばんは,牛島です。

前回の19期場つなぎブログのテーマは「牛ゼミのベストショット3」でした。
ベスト3,いい感じですね。
どれも私がいない場面なのが残念ですが(笑),活動の中でこういう写真が撮れるのがゼミの特徴を表しているのかなと思います。

写真・動画への関心
ここ数年,ProjectZ(旧テミルプロジェクト)という有志型プロジェクトで美大生と一緒に活動する機会があり,事あるごとに「アイディアを形にできる」ことの魅力を感じてきました。

たとえばフライヤーや展示物のデザインを創るなど,マーケティングという点で発信力を飛躍的に高めることができるということは当然あります。そしてそれ以上に,アイディアを具体的な形にしたプロトタイプを作る力があることで,イメージの共有度合いは飛躍的に高まりますし,実際に形になるわくわく感が,さらにアイディアを広げることに役立ちます。

(ProjectZのパッケージデザインと動画絵コンテ)

ゼミでも10年くらい前から一部のプロジェクトで「デザイン思考」という方法を採り入れることを試してきたのですが,うまく使いこなせないというのが実感です。
問題はいろいろあるのですが,一部を除けば「自分でプロトタイプが作れる」人が少ないことに加えて,そもそもそういうことをやってみようという感覚がなかなか育たないということも大きいと思います。

トガプロでは,すでに2015年からインタビュー動画を記録として残すという試みもありましたし,もしゼミで何か新しい表現方法,発信方法を採り入れていくとしたら何だろうと考える中で注目したのが写真や動画でした。
元々ゼミに入る前から写真好きという人は毎年一人二人はいるのですが,絵心がなくても写真とか動画なら多少は可能性があるんじゃないかなと。短絡ですが(笑)
そんなことで,昨年はVideo Scratchというゲスト講師による連続ワークショップも開催してみました。


(Video Scratchでの動画編集)

分析・表現方法を広げる
社会科学系学部の分析・表現の方法が,論理的思考や数学・統計学的手法に偏るのは致し方ないことです。それが強みでもあるわけですから。ただ,プロジェクトが典型ですが,「企業や社会が直面する問題を発見・分析し,解決策を考えて小さな実験的な試みを行い,その結果まで含めて発信する」ことを考えると,どうしてもそれだけでは足りない部分が出てきます。

企業の世界でも,デザイン経営という考え方が注目されています。やや抽象的な説明ですが,「定量化が難しい,数字には表れてこない微妙なコンテクストや価値観,時代感などを非言語的・非数学的な方法をもって取り扱」い,「自社と自社を取り囲む社会とのインターフェースを設計すること」(出典PDF)というものです。
つまり,デザインを企業経営に採り入れるというのは,単に見た目をきれいにするという話ではまったくないわけです。

産業史・経営史は歴史という人文系的要素を含む専門分野ですので,問題発見や分析の方法として,かねてから観察・インタビューといったエスノグラフィー的手法,そして資料(史料)分析などの方法を意識してきました。その点では,典型的な社会科学系分野よりも分析・表現方法として許容される範囲は広いのではないかと思います。
現状,商学部でデザイン思考とかデザインマネジメントを学ぶ機会はないと思いますが,ゼミの分野や活動の特性を活かして,これからも新しい方法に挑戦していきたいと思っています。

これまでグループワークやフィールドワークを重視してきたゼミにとって,対面での活動が制限されるのは厳しい状況です。でも,だからこそ新しい方法を開拓して,「会わなくてもできる面白いこと」を考えていくのが今年度のテーマになるんじゃないかと思います。” Something New, Creative First” が実践できるかが問われますね。