三田論振り返り

みなさんこんにちは。3年19期のはるなです。悩みは?と聞かれても困るタイプの人間だったのですが、最近ひとつ悩みができました。質問に対して話が長くなることです。あ、日記が書けないのも悩みかもしれません。ふたつありますね。

さて、季節は2月、この学年も一区切りで春休み。遊びに、趣味に、自分のしたい勉強に、ある意味いちばん羽を伸ばして、次の年度に向けて力を蓄えられる、そんな時間ですよね。

そんなタイミングで私は、秋学期をかけた三田論の活動を振り返って、私にとっての“三田論の意義”について考えてみようと思います。つまり、「三田論を書いてなにが良かったか」ということですね。冒頭にもあったように、私は、「話を完結にまとめる」「文章に起こして記録する」が苦手です。こうやって振り返るのって、なかなか難しい。

一方で、今後のステップアップ・進路選びにあたって経験を振り返って整理しておくことは、必要不可欠ですよね。読んでくださる皆さんのためだけでなく、自分のためにもしっかり向き合って飾らずに書いてみます。(こうやって考えると、18期の先輩方の振り返りブログの重みが分かりますね…。みなさんもぜひチェックしてください。)

そもそも三田論って?についてはこちらをご覧ください。

私たちは、6人のメンバーで活動しました。

だいたい9月中旬~11月初週までで研究対象となるフィールドの選定・先行研究の読み込み・問題提起から仮説検証をし、執筆、三田祭にて論文冊子の配布と展示を行うというスケジュールでした。この期間中は、ゼミの中で研究状況を報告する時間も設けられており、先生だけでなくゼミ員からもフィードバックをもらえます。

私たちの研究対象のフィールドは、足立区の中心地「北千住」。長年まちのイメージはよいものではなかったところ、最近は、イメージが変化し“穴場なまち”としてその地位を確立していること、埼玉・千葉と東京を結ぶ交通の最大級の要所であることから目を付け、フィールドに選びました。この論文で私たちが明かしたのは、「駅前の商店街の繁栄理由」。その理由中で、北千住というまちを形づくる特徴がわかる、という構成です。

前置きはこのくらいにして、ようやく本題です。(やっぱり長くなります…。)
“三田論の意義”とは。

「意義とは〇〇だ」とまとめる前に、以下のように活動中の事実を整理してみます。
① 学んだこと・得た力(=マジメで社会的なこと)
② 感じたプラスの感情(=個人的な充足のこと)

① 学んだこと・得た力
■学んだこと
・先行研究は、現在わかる範囲での「事実」。これが基礎となり、自分で新たな問題提起ができるという意味で、とても重要。読みこみは避けられない…。
・論文は「螺旋階段」。現状分析→問題提起・仮説をたてる→検証→検証不能もしくは仮説と異なるまたは結果に理由付けが必要→新たな問題提起・仮説を立てる→検証の繰り返しで進んでいく。仮説と問題提起は最後に出来上がる。
・初めてこのテーマに触れる人もわかる/興味を持てるように、問題提起は平易に。
・“イメージ”を測るのは、注意が必要。膨大な検証が必須かつ質問の文言・回答の解釈などが、結論と正確に結びついているかを計算しなければならない。
・データベースの活用が肝。どこにどんなデータがまとまっているか、洗いざらい見ること。
・報告では、初見の相手が理解できるよう配慮して表現すること。自分たちはずっと触れているからこそ、気づかないうちに前提の説明が雑になりがち。
・自分がいっぱいいっぱいになって前線を離れても、メンバーは助けてくれるので、無理しないでいいということ。

■得た力
・上記「学んだこと」をもとに論文をつくる感覚。
・自分に負荷をかけすぎないよう調整しながら持続して取り組む感覚
・本当の意味でのマネジメント力。単に自分が一プレーヤーとして頑張ることだけでは果たせない。相当のエネルギーを使ってメンバーの得意不得意や現状の体調やモチベーションを把握して適切に仕事を振ること。

② 感じたプラスの感情
・メンバーのおかげで最後まで“楽しかった”。なにげない会話でよく笑った。
・結論執筆のために全体を読み返して、図解し、結論の構成ができたときの「これが言いたかった」という“納得感”。0時から6時まで6時間かけて書ききったときの“達成感”。
・いま目の前で起こっていることの背景・歴史を知ってから見ると、するすると理解できて“おもしろい”。
・フィールドワークでは、まちの人の声が直接聞けたり、まちのおいしいごはんが食べられたりして“たのしい”。
・北千住が“好き”なまちになった。

三田論の意義とは、①の学びと②の充足が得られるということでざっくりとまとめられるでしょう。ざっくりしすぎていて、牛島ゼミに限らず、共同論文を書くという経験をした人なら大枠は同じことを感じるはずですね(笑)。(そして全く一言になっていない。)

そこで、“牛島ゼミの三田論だからこそ”、“私が特に強く感じた”意義に絞って考えてみると、
① それまで東京のまち全般に対して一様のイメージしかなかったところ、東京でもまちそれぞれに特徴があると実感できたこと
② 北千住というまちの特徴を知って、まちに色がついたこと、それによって北千住が好きになったこと
の2つが挙げられます。

山口から上京して漫然とまちの中で生活するだけだとのっぺらぼうで、なんだかよそよそしく見えた東京のまち。北千住を一例として深堀りを経た今、それぞれの地域ごとに細かく分かれて歴史文化があり、「東京もローカル」だと知れたことは、私の東京生活を楽しく温かいものにしてくれました。

こんな感じで私なりの率直な(そして長い)三田論の振り返りを締めくくります。私はこれからも、「北千住」というまちに愛着を持って、何度も訪れるでしょう。
来年の三田論班のメンバーが活動を通じてなにを感じるのかはそれぞれ異なるはず。今からそれの聞くのが楽しみです。