【2020年オンライン夏合宿インタビュー Vol.2】株式会社十和おかみさん市 代表取締役 居長原信子さん編

今回は、株式会社十和おかみさん市代表取締役の居長原信子(いちょうはら・のぶこ)さんにお話を伺いました!

居長原様_トリミング

実際に四万十町で生活する主婦「おかみさん」達をひっぱり、株式会社の代表取締役を務める居長原さんがどのように四万十町を盛り上げてきたのかについて迫ります。

〜「十和おかみさん市」とは?〜
四万十町十和地区の生産者が集まってできた、生産者の方々の株式会社。十和で収穫される新鮮な農産物、それらを使って作られる料理や加工品がおかみさん市の自慢。活動されている方の8割は女性で、野菜の出荷販売を中心に、十和地区にある四万十ドラマ直営店「とわ」で毎週水曜開催のバイキングや、年3〜4回季節に応じたツアーなどの企画、加工品の開発販売、ISO14001という安心安全野菜の取り組みなども精力的に行っている。 (出典:株式会社十和おかみさん市

 

毎日口に入れるものだからこそこだわりたい

図4
↑おかみさん市で販売しているお弁当。なんとこの豊富なお惣菜の種類とボリュームで400円とのこと!!

ーまず始めにおかみさん市を始めたきっかけについてお話いただけますか?

居長原さん:地産地消という声が社会的に広がったことです。その中で、「田舎に住む私たちにもなにか出来ることがあるがやない?」と思うようになったのがきっかけです。
それまでは、自分のところで取れた家庭用の野菜を売るところがなくて、捨てるか人にあげるかという状況だったんですよ。そこで「この野菜がお金にならないか?」という話から、「売る場所を作ろう」と思うようになって、おかみさん市が始まりました。

ーおかみさん市として最初はどのような取り組みを行ったんですか?

居長原さん:当時は高速道路も延伸していなかったので、高知市まで行くのにも片道3時間くらいかかったんですよ。そういう場所から野菜を持って11店舗くらいのスーパーさんに、200人近い会員さんと協力して週4回くらい持って行ったのが始まりです。そんなふうにして、行政の力も借りながら10年くらい地産地消の取り組みに関わってきたんですけど、「そろそろ独立しないといかんかな」ということで今のように会社組織になりました。

ー会員が200人もいたんですね、そんな大きな組織をまとめる中で大変だったことはありますか?

居長原さん:そうですね、おばちゃんたちっていうのは作るのは凄く得意なんですけど売るっていうことは苦手なんですよね~(笑)

だから、うちの取り決めとして、スーパーさんに売りに行くときに必ず誰かはついていって、顔の見える販売員として野菜のそばに立って「これがおいしいですよ」とか説明するっていう取りきめをしてました。だけど、生産者の中には「ぜったいそんなのやらん!とんでもない!」というおばちゃんたちもいました(笑) それを説得して毎回行ってもらうシステムづくりをするのが最初は大変でしたね。

ーなるほど。システムづくりが大変で工夫したということですが、おかみさん市で他に工夫した点やこだわった点はありますか?

居長原さん:こだわりとしては環境にやさしい農業ということで、ISO14001(環境マネジメントシステムに関する国際認証規格)の認証を受けていて、それにあった野菜の作り方を10年間くらい取り組んできたんです。自分たちが毎日口に入れているものを売るということで、安心安全を大事にしてきたので、お客さん、リピーターさんが増えていきましたね。

ー安心安全で環境にやさしいというのがおかみさん市の魅力なんですね。次は「おかみさん市バイキング」について詳しくお聞きしたいのですが、おかみさん市のバイキングで人気の商品は何ですか?

居長原さん:うちは60~70年くらい前からしいたけの産地で、しいたけ料理がメインなんです。なので一番の人気は「しいたけのたたき」です。生のしいたけを揚げて、甘酢のたれをかけていただくんです。これがすごい評判なんです。そのためにわざわざ遠くから来てくれるお客さんもたくさんいました。しいたけが嫌いな方でも「これやったら食べれる!」って言ってくれます。

ーなるほど、しいたけのたたきが有名なんですね!是非食べてみたいです!

居長原さん:はい、ぜひ食べに来てください!

おかみさん市の活動は、実は東京でも…

ー都市とおかみさん市をつなぐ取り組みはどのようなものがありますか?

居長原さん:お出かけバイキングっていうんですけど、そういう取り組みとかイベントを活動の1つとしてずっと20年近くやってきています。コロナ騒動でうちの取り組みはすごい縮小してしまったんですけど、都会との繋がりということで、年に何回かよそに出ていってバイキングをすることもあります。高知市だけでなくて、東京でも2回やりましたよ。もしコロナがなかったら、今年(2020年)の3月にも東京であったんですよ。コロナで今はバイキングは中止していますが、収まってきたら11月ごろから復活出来ればいいなと考えています。

 

食を通じて若い人を地域に巻き込んでいきたい

ー様々な企画を打ち出しているおかみさん市ですが、今後実践していきたい取り組みはありますか?

居長原さん:そうですねえ。おかみさん市を始めてから、今年で20年なんですよね。その中で会員さんの高齢化というのが、うちの将来的な心配事の一つになっている。そこで、これから若い人たちをどうやって巻き込んでいくかというのを今考えています。

例えば、四万十ドラマ*の若い従業員さんであったり、今おかみさん市を手伝ってくれている地域おこし協力隊の方々を、より積極的に活動へ取り込んでいくことで、将来的に後継者になってもらえたらなぁと思っていますね。この2~3年で引きずり込めたらいいなって(笑)

~四万十ドラマ*~

「四万十川に負担をかけないものづくり」をコンセプトに、栗・お茶・紅茶・しいたけ・米・ゆずなど地元の1次産品を使い、地域と手づくりにこだわった商品開発を行っている。他にも観光、人材育成など、四万十の人と風景を残すための事業にも力を入れている。
(出典:いなかパイプ「株式会社四万十ドラマ」

 

ーなるほど。これまでに、おかみさん市の活動がきっかけで移住やUターンをされた方はいらっしゃるのでしょうか?

居長原さん:直接的ではないかもしれないですが、おかみさん市で振る舞う料理が、地域おこし協力隊*の子たちや、インターンで四万十を訪れる子たちを惹きつけてるっていうのは絶対あると思いますよ。私の思い上がりかもしれないけどね(笑)

でも、実際今年の春にうちへインターンでお手伝いをしてくれた女の子が、「おかみさん市のお料理やおばちゃんたちの人柄に惹かれて、すごく居心地が良かったので、ぜひ移住したい」って今言ってくれているところなんです。こういう風に、間接的に私たちの活動が影響してる部分はあるんじゃないかな(彼女は現在、実際に四万十町へ移住してきました)。

~地域おこし協力隊*~

都市地域から過疎地域等の条件不利地域に移住して、地域ブランドや地盤産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組。(出典:総務省「地域おこし協力隊」

ーすごいですね…!ところで、今までもたくさんの新しい取り組みをされてきたおかみさん市ですが、そういったアイディアはメンバーの方々の中から出てくるんですか?

居長原さん:学校給食への食材提供なんかは、おかみさん市が始まる前から、私が個人的にやりたかったことなんです。子どもたちに、小さい時から地元の野菜を食べてほしいっていう思いがあってね。

でもその他の企画はだいたいメンバーの中からですね。おもてなしツアー*なんかはお客さんとの会話の中から生まれました。高知県内のスーパーに販売に行ったときに、お客さんから「十和ってどこにあるの?」って聞かれたり、「あそこの隣よね」って全然違う地名を言われたりしてしまって…(笑) 十和の知名度の無さを実感したんです。その時に、メンバーの中で「そういう人たちをうちに呼ぼうよ」って話になりました。郷土料理を食べてもらったり、田舎の体験をしてもらったりしようってね。

~おもてなしツアー*~

郷土料理の提供をメインに、四万十川の清流など十和村の持つ自然や農業体験を組み合わせる形で行われるツアー。(出典:農林水産省「十和村おかみさん市」

 

食を通じて地域の魅力を伝えていく

ーそんな様々な取り組みを行われているおかみさん市ですが、四万十町という地域との関わりはどのようなものがあるのでしょうか?

居長原さん:おかみさん市は、地元の食材を使い地元の人が料理して販売するという点で四万十町という地域の魅力発信・橋渡しのようなものを担っていると実感しています。また、メンバーには地元のJAで働いている人もおり、より近いところで四万十町の食や生活に関わっています。メンバーは皆それぞれ「四万十町の一員である」という意識を強く持っていますし、そういう意味では地域との関わりは密接なのかなと思いますね。

ーメンバーの一人一人が四万十町に愛情を持っていらっしゃるんですね。四万十町の魅力を発信している四万十ドラマさんとも関係があるとのことですが、どのような関係になるのでしょうか?

居長原さん:元々「おかみさん市バイキング」は四万十ドラマさんとの話し合いにより始まりました。以来、多くの人に活動を知ってもらうことができましたし、経理や広報など、私たちが不得手な部分もやってもらっているので、本当に助かっています。

図5
↑おもてなしバイキング(画像:十和おかみさん市HP

四万十ドラマ 刈谷さん:ありがとうございます(笑) 私たちもいつも「おかみさん市」からパワーをもらっています。お互いに補い合いつつ協力して一つの形を作る、持ちつ持たれつフラットな関係を築くことができていると感じています。

四万十ドラマ 刈谷さんへのインタビュー記事はこちら

 

一人ひとりが持つ「自分たちの会社」という思い

ー会社の“社長”として居長原さんが大切にされていることはありますか?

居長原さん:普通の会社と違って、おばちゃんたち全員が社長みたいなもんなんです(笑) だから、社長でありながら社長でない、みたいな。みんなの意見を大事にしていかないと、という思いがあって。みんなの意見を吸い上げながら、いかに調節していくかっていうのが大変ですね。

ー四万十のお母さん方で結成した女性だけの組織ですが、女性だけだからこその”強み”や、逆に大変だと感じられたことはありますか?

居長原さん:個性の強い人がたくさんいるので、それぞれの個性をうまく活かす、そして時には抑える調整をするのは大変ですね。でもみんなすっごく仲良しでおかみさん市のことを想ってくれています。コロナの給付金をもらった時、半分くらいの人が「おかみさん市のためにみんなで寄付しようか?」なんて言ってくれて。それぐらいおかみさん市のことを想ってくれていて、自分たちの会社だっていう意識がある。そういう意味でも、みんなで頑張ろう!とやっていける組織だと思っています!

ー熱い気持ちを持っている方々が集まっている素敵な会社なんだということが伝わってきました!

図6
↑インタビューさせていただいた日のおかみさん市のまかないランチです。スタッフさん用とは思えない豪華なまかないですね!美味しそう!◎

食は作るところから見て育つと食べるようになる

ー今後おかみさん市を続けられていく中で、挑戦したいことはありますか?

居長原さん:学校給食に十和の伝統野菜をもっと取り込んでいきたいですね。子どもたちに栽培してもらって、給食で食べてもらったり、一緒に料理をして食べたりなんかして。いまもう5年目になる活動なんですけど、これから十和の伝統野菜を残していくためには、大人になっても伝統野菜の味を思い出してもらえるようにするのが大事だなと思ってやっています。

ーもう5年目の活動になるんですね!

居長原さん:そうなんです。学校給食をやってると、伝統野菜を食べたことがなかったような子たちが夢中になって食べるんで、びっくりしますよ。普段野菜をあまり食べない子でもぱくぱく食べているのを見ると、「食は作るところから見て育つと食べるようになる」っていうのを実感しますね。自分で育てるとやっぱり愛着がわくようになるんでしょうねえ。高菜のごはんを、もう何杯も何杯も(笑)

ー素敵な活動ですね。ぜひ今後も十和の伝統野菜の魅力を伝えていってください。たくさんの貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

図7

最後に、記念写真のしいたけポーズです!

 

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