【2020年オンライン夏合宿インタビュー Vol.4】JA高知県十和支所所長 安藤岳さん編

牛島利明研究会は、四万十町のみなさんのご協力のもと、今年は「四万十にいかんと!」をテーマにオンライン夏合宿を行いました。
私たちが合宿中に教えていただいた四万十町の魅力を、皆さんにもお伝えしたいと思います。ずばり「四万十をしらんと!」です!

今回インタビューさせて頂いたのは、JA高知県十和支所所長の安藤岳(あんどう・たける)さんです。


↑JAの“J”ポーズをしていただきました!安藤さん、ありがとうございます!

地域に密着して日々お仕事をされている、いわば“四万十町の農業エキスパート”であるJAの安藤さんの視点から、四万十町十和地区の農業の特徴と、農産物の魅力についてお聞きしました。

図2
(画像:四万十町役場HP

農地が少ない中で生まれた十和地区の“複合経営”農業

ーまずは自己紹介をお願いします。

安藤さん:JA高知県 十和支所で所長をさせていただいている安藤と申します。地元である四万十町の中学校を卒業した後、高知市内の高校へ進学して、一般の企業に就職しました。25歳の時に四万十町にUターンをして、それからはJAに勤務しています。ちなみに実家は農業を営んでいます。

ーJAはどのような組織なのですか?

安藤さん:JAは“ゆりかごから墓場まで”と言われるように、生まれた時から学資保険等の共済事業に始まり葬祭事業までさまざまな幅広い事業を展開しています。もちろん、農産物の販売、農家への指導なども行っています。地域ごとに特産物の違いがあるので、どこの地域のJAもそれぞれの特色を打ち出して、地域に密着した事業を展開しています。

ー四万十町十和地区の農業の特徴は何ですか?

安藤さん:十和地域は、ご存知の通り中山間の地域です。農地は四万十川の流域に点在していて、いかんせん土地が狭く、大規模農家はほとんどいないような状況です。農地が少ないがために、山を切り開いて木炭、炭をつくったり、切り開いた土地で、お茶、しいたけ、栗、ゆずを生産しているというのが特徴ですね。また、一つの農家が一つの品目をやるわけではなく、時期ごとに仕事を割り振って、多数の品目を生産する”複合経営”をしているのも特徴です。そもそもの環境は、抜群に良いんです。特に、水質の良さや、寒暖差がある点は非常に良い点だと思います。また、「四万十」という名前もブランドとして魅力を持っていると思います。

ー四万十町には様々な品目の特産品があるのですね!特にしいたけは生産量全国一位になったことがあったりと有名ですよね。

図1
↑四万十町の特産品、原木しいたけ(画像:四万十町役場HP

四万十町の農業が直面する保守的な流れ

特色ある農産物を生産している四万十町ですが、一方で課題や危機感などもあるようです。ここからは、四万十町や十和地区が抱える課題や、その対策について伺いました。

安藤さん:特色ある農業を伝統的におこなってきた一方で、現在の四万十町の農業は、多くの課題に直面しています。

ー四万十町の農業にはどんな課題がありますか?

安藤さん:高齢化を要因として、地域の農業がどうしても現状維持もしくは徐々に衰退していることです。

図4

↑四万十町の高齢化率は年々増加傾向にあり、2030年には65歳以上の高齢者が半数以上を占めると推測されています。(出典:高知県四万十町「四万十町人口ビジョン」より作成)

安藤さん:高齢になってくると気持ちも後ろ向きになってくるし、保守的な流れになってしまうというのを感じています。幼い頃から農業に関わったり、いまはJAで仕事をしたりと長年四万十町の農業に触れる中でそう感じるようになりました。
それと、農家さんは代々農地を受け継ぎ、その農地を守るために、農業をやらざるを得ないという状況が多く、根底に「やらされている感」があるのかなとも思います。そんな個々の農家さんの状況が、四万十町の農業全体の保守的な流れにつながっているのかもしれません。
とはいえ、四万十町における農業は、第一兼業農家、専業農家含めて、やっぱりその人口に占める割合が多く、町全体に大きな影響力をもっていることは確かです。過去には、しいたけの生産量1位を2回とっているのですが、当時は地域内の商店さんも潤っていました。農業が活発になると、地域全体がやっぱりもう少し盛り上がってくるということは、やっぱりあるといえるので、少しでも現状を打破したいと考えています。

地域が一枚岩になり、品目集約をすることが必要

ーなるほど。高齢化や「やらされている感」が保守的な流れを生んでいるんですね。現状維持もしくは衰退という四万十の農業の課題を解決するためにJAとしてどのようことを考えていますか?

安藤さん:町全体に保守的な流れがある中で、強いトップダウンの指揮をとるのもなかなか難しいところではありますが、このままでは、それぞれの品目の生産が少なくなっていって、すべてが同時に衰退してしまいます。そこで、行政も含めた地域全部で「この地域はこれで勝負していくんだ」という品目を皆が心に決めて集約していくことが必要だと考えています。

学生に期待するのは、「新3K」の発信 

JAという立場で、農業の課題に向き合う安藤さん。今後の四万十町の農業のあり方について伺いました。

ー安藤さんとしては5年後、10年後に四万十町の農業がどういう姿になってたらいいと考えていらっしゃいますか?

安藤さん:そうですね、どうしても高齢化による自然減は止められないと思うので、そこは四万十町とも一緒になって、IターンなりUターンなり農業をする人にきてもらいたいです。結局、ここまで農業が衰退しているということは、農家が儲けてなくて若い人が外に出て就職してしまうっていうことがあるので、儲かる農業であれば、農業に就職するっていう人が増えてくるとは思いますね。うちも農家なので、実践してみようと思ってます。

ーなるほど、ありがとうございます。Uターンのお話もありましたが、私達のような東京の学生層が、地域、特に四万十の農業とどのような関わりを持ってほしいと考えていらっしゃいますか?

安藤さん:そうですね、農業について若い人が考えてくれるだけでもいいと思います。とはいえ、本当は農業してもらいたいところです。まずは、生産の現場を体験してもらうこともそうですし、販売といったところも普段聞けない意見も聞いてみたかったりしますね。うーん、農業のイメージを変えてもらいたいですね。

ー具体的にはどのようなイメージに変えたいですか?

安藤さん:「きれい・かわいい・稼げる」みたいな(笑) 大学生発信とかの方がイメージは変えられるんじゃないかなって思います。

ー「きれい・かわいい・稼げる」だとたしかに惹かれますね。実際JAの中でイメージを変えるような発信はされているのですか?

安藤さん:広報活動は、JA高知県でも全体でもやっていはいるんですが…。効果的な広報活動やってるのって聞かれると、そうじゃないかもしれません。

ー発信面に問題を抱えているんですね。

安藤さん:そうですね、僕はその点に問題意識をもってますね。

ー逆に言えば、発信っていう部分が変わってくれば、根本も変わってくるっていう感じなんですかね。

安藤さん:そうですね、JAが人気企業になってくれれば、また見方も変わってくるかなと思いますね。

日々、四万十の農業に触れ、リアルな課題に向き合う安藤さん。そんな安藤さんだからこその視点で、個々の農家さんが抱える課題や解決の難しさをお聞きすることができました。合わせて、今後の学生としての関わり方のヒントもいただけました。
コロナ禍の大変な情勢でも快くインタビューをお受けいただき、ありがとうございました!

図5

最後にゼミ員と集合写真をパシャリ。ありがとうございました!

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