2年生が牛島先生に聞きたいこと

 

今回は、「2年生が先生に聞きたいこと」という趣旨で3つの質問をお伺いさせて頂きました。

 

1.牛島ゼミのゼミ員の雰囲気

ゼミ選びの一つの軸として、「ゼミ員の雰囲気」は大きな要素だと思います。先生からご覧になって、今のゼミ員(17,18期)ってどんな印象がありますか?

自分ではどう思いますか?(笑)

私ですか?(私(18,3年)は自分の期の印象は定かではないんですけど、17期の先輩方の論理の立て方に惹かれて牛ゼミに入ったので、そういう頭の回転が早さというか、論理的思考力に優れている方が多い印象です。

たしかにゼミの活動を通じて身に着けてもらいたいことの一つが論理的思考力みたいなことですよね。でも、ゼミで必要な力って色々あると思うので、その要素のどれが一番特徴として出るかっていうのは期によって違ってるかな。17期は個性も色々だと思うんですけど、論理的思考力っていうのが得意分野っていう人が目立つ期かもしれない。

でも全員がそういうイメージかと言ったら、多分違うじゃないですか。だから、そこは一つのカラーで一つの期が塗りつぶされているというよりも、どこか際立った特徴みたいなのがありつつも、それぞれの持ち味があって。それがなんていうかな、その期の味みたいな感じ。だから期のイメージって1色じゃなくて、どんな感じのグラデーションになっているのかな?っていうところじゃないですか。

あと、ゼミは2年間ありますから、入った時のイメージと卒業のときのイメージも結構変わる。その変化の理由は2つあると思うんですけど、1つはゼミの中でいろんなことをやって考えて、変わっていく。個人でも、期全体でも。あと1つはいろんな活動を通じて、こちら側が一人一人への理解が深まっていくことで、元々あったんだけど見えてなかったところが「あ、この人こんな面もあるんだ」みたいな感じで分かってくる。

そうなんですね。17期(現4年)も入ったときと今とでは結構イメージ違いますか?

1人1人がはっきりしてきますよね。最初はなんだかよくわからないぼんやりとした全体としての雰囲気。でも(時間と共に)なんかこう1人1人の特徴とかがちょっとづつ分かってくる。

4年生になってからの1年も大きいですね。期ってね、4年生になるとやっぱり変わるんですよ。毎学年そうだけど、立場が変わると変わる。「1年間ってこういう風に過ぎていくんだ」、「この活動はこういう風にやってくんだ」っていうのが分かって。しかも3年生と一緒に、自分たちが引っ張ってやっていこうとすることで、個人としても全体としても雰囲気は大きく変わることが多いです。

 

2.先生のゼミ活動への関わり方

このゼミは、先生がゼミ員に専門知識を教えていくという感じのゼミではないですよね。先生はどういうことを意識してゼミに関わっていらっしゃいますか?

何から話しはじめたらいいかな。

私の印象は、先生はゼミ員の活動範囲を設定して自由なフィールドを与えてくださるっていうイメージです。

まあまさにイメージはそんな感じだと。ゼミとしてこういう方向を目指したいっていうのはあるから、より高いクオリティを求めていけるような姿勢を要求する。
でも何も知らなくて、何もやったことがないっていう人にアドバイスしないのは無茶だから、「こういうテーマでこういうことを目指しているんだよ」っていうのは伝えて、それに向かっている限りはできるだけ自由度を高くする。
何でもありにはできないわけですけど、目標自体を自分たちで具体化するとか、やりたいことを自分たちで探していくっていうのがすごく大事な経験だと思うので。

小中高と指導する側があらかじめプログラム化したものを消化して、その達成度をあげていくみたいな教育を受けてきた時間が長いんだと思いますが、それを繰り返していても自分のやりたいことを試行錯誤で探していくみたいな思考にはならない。でも、将来は何がいいことなのか悪いことなのかという評価を含めて、自分のやりたいことを決めていくみたい場面は絶対ある。めちゃくちゃにならない範囲でそういうやりかたをしたいということですよね。

なるほど。私なんかはこれまで、指定されたものの中で考える、っていう学習方法に慣れてしまっていたので、ゼミに入って「さあ、フィールドを用意しました。好きなことをやってください。」って言われたときに、自分がどうしたらいいのかわからないことが結構あって。戸惑ってばかりなのですが。

意図的にやり方を変えているわけだから、戸惑うのは当然だよね。

そうなんですね~。

自分で自由にやっていいよって言われたときに何をやっていいかわからないとか、自分で考えて決めてっていうのがこんなにも難しいのだとか。それをまずは認識してもらうことがスタート。でも、たとえば2年間ずっとそれが続いちゃうとまずいから、「とにかく何か考えて出してもらって、アドバイスをして、またちょっと考えなおして煮詰めてもらって、また相談して」みたいなことを繰り返して徐々に進んでいく。アドバイスっていうより、私もどうしたらいいかわからないから、一緒に考えるっていうのが正確かもね(笑)

いつも「成果は何なの?」「ゴールはどこなの?」とは言ってるけど、ゼミは教育の場ですから、極端な話、成果がなくても成長があればいいわけじゃないですか。成果がないとゼミが倒産するっていうわけじゃないから、「最終的に何も生み出せませんでした。だけど、やってきて何か学びがありました」ができるのが教育機関ですから。だから、そこで本人たちが学んでいくチャンスを減らしたり潰したりしてまで、辻褄を合わせるための成果を追い求めるみたいなのはしなくていいと思っています。

うんうん。先生が以前おしゃっていた「成果を出さなくてもいいのは学生の特権」のような感じですね。

うん、もちろん少しでもいい成果を残せるようもがくことは絶対必要です。でもだからと言って目立った成果を出せなかったり、失敗しても別に問題はないただ、結果を出す場面はたくさんあれば、あった方がいい。それが成功でも失敗でも。一回終わりまでやって、成功だな、失敗だなっていう評価があって。じゃあどうする?ってなってまたやる、というのが何度もできるんですよ。で、社会人になってしまえば、その失敗のダメージはまあゼロではない。どれくらい大きいかはその場面によって違うと思うんですけど。

確かにそうですよね・・。

 

3.2年生の内に

最後の質問に入るんですが、これはゼミとは関係なく、大学2年生という時期に関して何やったらいいんだろうっていう疑問があります。どうお考えになりますか?

大学に入って、大学の中での自分の新しい世界みたいなのを作って、だんだん自分の居場所ができてきて。今はそれが楽しいかなというのはあると思うんですけど。まあ今いる場所って意外と世界が狭いんじゃないかと思います。だいたい同じ大学の同じくらいの世代の人たちが集まっている場所、それ以外だとアルバイトとかで時間を過ごすみたいな。

でも多分その中で色々やってても、将来自分が何に向いているのかなとか、何が好きで何が嫌いだとか、そういうことの手ごたえを得るチャンスがすごく少ないんじゃないかと思います。今いる居場所を捨てる必要はないんですけど、そこから一歩出て自分が見える世界とか、感じられる世界をもっと大きく広げていくことが必要な時期なんじゃないかな。

それはすごく変わったことをするという意味ではなくて、大学の中でもあらためて探してみればいろんなチャンスがあって、色々な人と話して、その人たちからまた次の人や場所に繋がったり。そういう意味での行動の幅を広げて、自分が見える世界を広げることは早いうちからやってほしいですね。この時期だと、2年生が終わろうとするいま言われてもって思うかもしれないけど、いまからでも2か月動けるわけだからね。

もちろん、ゼミがそれをやる場っていう位置づけでもあるんですけど、もう3年生の12月とかになると就活とか進路の話になって慌ただしい雰囲気になるので、否が応でも自分って将来どうしたらいいんだと考えなきゃならない時期になる。でもその時期までには時間が足りないんですよね。ゼミ入ってから8か月間なんですけど、どんなに頑張っても8か月っていうのは短い。しかも、そこでは業界とか日系大企業か外資かベンチャーかみたいな選択肢から「会社選び」をする仕組みになっていて、プログラムとして用意された短期インターンとか説明会とかで得た漠然とした感触を頼りに、そんなに広くはない自分の世界観と照らし合わせて志望を絞っていくことになる。

就活特有の表現で、何々業界を「見てる」という言い方があるけど、象徴的じゃないかな。「見てる」って表現は対象との距離感がクールだし、躍動感がまるでないよね(笑)大学と外の世界の境界を越えて行くような切実さはなくて、いつもと同じ場所からウインドウ越しに眺めているっていう雰囲気ですかね。一歩引いている感じ。

今の仕組みの中ではそういう言い方をせざるを得ないというのはよくわかります。学生の方から踏み込んで距離を詰めるのは難しそうです。ただ、自分の志向の輪郭をもっとはっきりさせることで、可能性を広げることはできるだろうと思います。出来れば2年生のうちから、もっと言えば1年生のうちから、あんまり自分の世界にリミットを設けないで、ちょっと違和感のあるザラっとした世界も感じてみてほしいな。多分広げていけば違和感だけではなく、今までと違う楽しさも発見できると思うので、そういうチャンスを自分で作っていってほしいなと思います。自分が20歳の時を振り返れば難しいことだっていうことも分かっていますけどね(笑)

 

ありがとうございました!