What’s Gyuzemi?

牛島ゼミは、産業史・経営史系統に属し、おもに明治期から現代に至る日本の経済・産業・経営の歴史を研究対象とするゼミです。

牛島先生が語る!

産業史・経営史を学ぶ目的-「現在」を疑う

どうも皆さんには高校時代の日本史、世界史のイメージが強いようで、歴史を扱う学問というのは現実社会と遊離した「過去」を相手にする分野という印象を持っている諸君が多いようです。
しかし、これは大きな勘違いです。産業史・経営史研究の重要な課題のひとつは「いま現在」私達が抱える問題の歴史的な背景を読み解くことによって新たな展望を獲得することにあります。産業史・経営史とは、実は現在を対象とする学問なのです。

もちろん産業史・経営史研究のすべてが現在と直結しているわけではありません。個別の研究では100年前のある特定の産業や企業のみに集中して研究することもあります。しかし、ここで皆さんに理解して頂きたいのは、ある物事がどのような社会的・経済的要因の相互作用の中で形成されたてきたのか、さらに今なぜ変化しつつあるのか(またはなぜ変化しないのか)、その理由を歴史的文脈の中で解き明かすことが産業史・経営史研究における重要な視角の一つなのだ、という点です。

問題意識なしに歴史を見ても、それは無味乾燥な過去の出来事の羅列にすぎません。そんなことを商学部の専門課程で学ぶ意味はありません。今日的な問題を考える上で、できあいの説明、根拠のない通説を疑い、長期的な視野を持って考えることができるかどうか、ということが大切なのです。

ゼミの目標

私のゼミでは年表的知識に詳しいだけの「歴史おたく」は歓迎しません。また、上記の趣旨を理解した上であれば、共同研究や卒論で取り上げるテーマについて事前に制約することはしません。
ゼミでのディスカッション、共同研究、ディベート、卒論などさまざまな機会を通じてメンバー各人が自分の頭で考えた問題を立て、的確な情報収集と分析をもとに論理的な議論を進めることのできる能力を培う。これがゼミの最終目標です。

ゼミの志望者に望むこと

牛島ゼミは2001年度に開設されました。今年で19年目を迎えますが、より良いゼミを目差してまだまだ試行錯誤の繰り返しです。現在も18期生、19期生諸君と私が知恵を出し合ってよりよいゼミにしようと努力していますが、ゼミで求めているのは、与えられたメニューを無難にこなす人ではありません。新しいアイディアを出し、実行していく熱意を持っている人、かつそれを楽しいと思える人材です。ゼミを三田における学生生活のコアとして考え、自主的、かつ積極的にゼミの発展に貢献してくれる皆さんの参加を熱望しています。

ゼミに興味をもたれた皆さんは、ぜひ積極的にゼミ説明会やオープンゼミに顔を出して質問や要望をゼミ員にぶつけてください。来年度も多種多彩なメンバーがゼミに参加してくれることを期待しています。 (牛島利明)